現地報告レポート
第1回 2007年2月【乾季のニジェール訪問】 第2回 2007年3月 【切っても切れない? 砂漠化と食べ物と栄養失調児】
2007年3月【切っても切れない? 砂漠化と食べ物と栄養失調児】
日本では桜が次々と咲き始め、すっかり春めいてきました。私はニジェールでの調査を2月いっぱいで終え帰国しましたが、そろそろ当地では猛暑の時期に突入している頃です。4月にもなれば40℃を超える日が続き、そして5月に入り雨季がくるまでは、今度は朝の気温が下がらなくなります。ニジェールの人々にとっても大変厳しい季節で、おまけに暑さだけではなく、そろそろ備蓄食糧の残りも寂しくなる頃です。
前回のニュースレターで、栄養失調児が増えてしまう背景についてお知らせしました。衛生的・健康的な生活を保障する水事情が悪いこと、正しくない母子保健の知識をもつお母さん達も多いこと等も原因ですが、これらが改善されたとしても、やはり食べ物が満足になければ栄養失調になります。今回の調査の後半で配布活動と乳幼児検診に参加して以来、それを実感しています。現在アムルトが行っている食糧配給では*CSBという栄養補助食品を栄養不良児に配布していますが、これを摂取した栄養失調児の85%は、早い子で1~2ヶ月、遅くとも数ヶ月以内に通常まで回復するのです。中には少数ですが、回復してCSB摂取をやめた後、再び栄養失調になってしまう乳幼児もいます。食糧と栄養失調は、やはり切り話して考えることは出来ません。
栄養失調児は4月ごろから8~9月ごろにかけて多くなるのですが、それと食糧が不足しがちな時期とは、ほぼ連動しています。ニジェールでは、6~9月の雨季の間に、ミレットや豆などの穀物1年分を作ってしまうのが普通です。この短期間で1年間の穀物が確保できることを考えれば、ニジェールの自然は本来は豊かであるとも言えるのですが、収穫の量は年ごとに差が大きく、長年の間に徐々に減ってきています。土地の生産力(地力)が低下しているためです。地力回復にすぐに効く手立てはないので、農民の多くは栽培面積を広げることを希望していますが、土地利用や労働力の問題などもあり、簡単ではありません。地力回復が追いつかずに土地がどんどん疲弊した結果、ちょっとした旱魃でも作物が枯れてしまう土地になってしまいます。こうした土地は年々拡大しており、これがいわゆる「砂漠化」です。砂漠化を解決するための取り組みは多岐にわたりますが、すぐに解決できる問題ではなく、栄養失調児の増加はそれを待ってはくれません。
現在のCSB配給は緊急支援なので、配給が終了する前から、配布後の自前の食糧確保に向けた支援を始めなければなりません。これは緊急支援の後の“復興支援”の段階に当たります。お母さん達の自助努力でできることとしては、乾季に潅水しながら野菜あるいは作物の栽培をし、それを食べるか、あるいは販売して備蓄用の食糧を購入する方法があります。その栽培を支援するために簡易井戸やハンドポンプを提供したりするのが、CSB配給の次にアムルトがすべき支援でしょう。
お母さん達にきいてみると、自分達のやりたいことについて、たくさんのアイデアを持っています。一番人気は野菜を栽培すること、次に市場のある日に軽食を作って売ること、市場で仕入れたものを村で売る行商、ヤギやヒツジを育てて売ること、etc,
etc. 少数ながら食糧が十分にある人もいて、穀物を売ることを考える人もいます。ブザにおいては天然資源が豊富とはいえず、付加価値を生み出す技術を持つ女性もほとんどいません。地域の資源でできること、外から多額の資本を持ち込まずにできること、なによりお母さん達の力でできること。そうしたことが、お母さん達の生活改善へ意欲を高め、乳幼児や家族への食べ物や資金を得ることに繋がっていくはずです。
まずはお母さん達の活動を支援し、その次に保健センターや学校の関係者、地域の行政スタッフ等を巻き込みつつ、お母さんと乳幼児が健康で暮らせる村づくりにコマを進めていくのが、持続可能な成果をもたらす支援のあり方だと考えています。
*CSB:Corn(トウモロコシ)・Soya(ダイズ)Blend(混合)”の頭文字をとったもの。これらの粉末と砂糖・食用油脂などを配布し、母親は加熱調理して乳幼児に提供する。
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