現地報告レポート 第1回(5月20日〜5月21日)
第2回(5月24日〜5月30日) 第3回(6月5日〜6月8日)
第4回(6月12日〜7月2日) 第5回(スタッフ紹介)
第6回(livelihood プロジェクト) 第7回(スリランカ滞在の締めくくり)
第6回(livelihood プロジェクト)
このプロジェクトの目的は、津波で生計を立てる手段を失った女性たちに、基本的なビジネスとアカウンティングのトレーニングを与えた後、彼女たちが家庭で小さなビジネス(マイクロビジネス)を起こすのに必要な用具を提供し、彼女たちの家族の生活を立て直す手段を与えることである。アムルトスリランカとして今後このようなlivelihood(生計)
プロジェクトを拡大していきたいということもあり、今回はパイロットプロジェクトとして、裁縫の知識と経験を持っている20人の女性のベネフィシャリー(受給者)を選び、マイクロビジネスの講義をした後、ミシンと裁縫の材料を供給するということになった。今回、初めからミシンの贈呈式まで私が関わることになった最初のプロジェクトでもあって、個人的に思い入れも強かった。
まず、一番初めに行うべきこと、そして非常に重要なことは真のベネフィシャリーの選定である。20人のうち半分は、我々が既に建設したTransitional Shelterに住んでいる女性たちで、全ての女性一人一人にインタビューをし、ピックアップした。残り半分は地元政府からのリストを元に選定。アムルトスリランカの重要なモットーの一つに、常に地元の政府とコンタクトを取って、協力と認定を得るということがある。そうしないと、正しいベネフィシャリーが得られる可能性は低い。例えば、裁縫の知識がないのにあると言う人や、以前に他のNGOからミシンを得ているのにないと言ったりする人が出てくることもある。とにかくこのベネフィシャリー選定の仕事はとても大切であるが、とてもやっかいで時間もかかるものである。実際やってみて身にしみてよくわかった。
今回のベネフィシャリー選定の条件は、
1)以前に裁縫の仕事に携っていたこと
2)裁縫の知識があること
3)津波でミシンを失い、今は所有していないこと
4)マイクロビジネスを立ち上げる意欲のあること
5)10日間のトレーニングにすべて出席できること
であった。
まず、我々のシェルターに住んでいる女性すべてをインタビューし、ミシンを最後に配るということは伝えずに、上記の条件に合うかどうかを確認。3日間通いつめて全員とインタビュー。あるベネフィシャリーは裁縫を知っていると言ったのに、次の日になって実は知らないと言ったり、なかなか真実を得るのは難しかったが、最終的に10人をピックアップした。
その後、地元政府から得たリストの女性たちに会いに行った。住所はリストにあるものの、津波後、移動して別のところに住んでいたり、別の場所の親戚の家に住んでいたりと、探すのに非常に苦労した。不幸にもその時期、Mr.Manuはコロンボにおり、運転手も彼と一緒にいたため、私とフィールドスタッフで日中40度近くなる暑さの中、Three Wheeler(三輪の小さなタクシー)と徒歩で、あちらこちら周り、3日間を費やした。
とにかく、我々は20人のベネフィシャリーを得た。次の問題は、マイクロビジネスのトレーナーを得ることであった。幸運にも、地元政府のおかげで、Department
of Social Planningという部門のDirector,Ms. Piyadasaを紹介していただいた。彼女は過去20年以上このような女性の地位向上の為のプログラムに関わっているエキスパートであった。とても威厳があり彼女の行動や発言そのものに私自身とても刺激を受けた。彼女がその部下であるトレーナー、Mr.
Saminda を紹介して下さった。彼は経験も知識もあり、我々が欲していた条件を満たしていた。
次に10日間のマイクロビジネスのトレーニングプログラムの計画を立てる必要があった。私はそのような知識も経験もなかったが、Mr. Manu は以前に学んだことがあるらしく、全てのプランを一晩で作り上げた。それを上記のDirectorとトレーナーに見せたところ、必要なもの全てカバーしているとのことだった。今回も彼はここで不思議なスパーパワーを発揮した。
10日間のトレーニングの直前、我々は20人のベネフィシャリーを地元のコミュニティーセンターに集め、我々のプロジェクトの狙いと彼女らの意思を再確認した。
彼女たちは我々の考えをよく理解しやる気を見せたようだった。ただ、ベネフィシャリー以外の女性たちも何人も集まってきて、“インタビューの際には言わなかったが、実は私も裁縫の知識があって加わりたい”と言ってきた。我々はこのプロジェクトを続ける予定であり、彼女たちは次のグループに加わるチャンスがあることを説明してなんとか納得させた。このような予期せぬハプニングがきっと今後も起きるだろうと少し心配になった。
7月18日、いよいよトレーニングがDadalla I.D.P. Campのコミュニティーセンターで始まった。Ms. Piyadasa自らが出向いてスピーチをして下さり、ベネフィシャリーにいろな質問をし、彼女たちを勇気付けてくれた。
その後我々のトレーナー ,Mr. Samindaが講義を開始したが、見た目の穏やかさとは異なり、とてもアクティブな印象で、ベネフィシャリーの引き付けたようだった。この日我々は適正なトレーナーを得たことを実感できた。
その後のトレーニングは大きな問題もなくスムーズに行われた。毎日2時間ぶっ通しで講義は続いたが、トレーナーは毎日いろいろ工夫をこらし、グループを作って課題を与えたり、プレゼンテーションをさせたり、彼女たちを飽きさせなかった。 フィールドスタッフが常に私と一緒に来てくれたため通訳はしてくれたが、講義はシンハラ語なので全部は理解できなかったが、楽しそうな雰囲気はよく伝わってきた。私も加わって一緒に学べたらいいのになあと感じた。
最終日にはミシンの販売店から技術者を呼び、ミシンの扱い方、メンテナンスの仕方を講義してもらった。みんなとても真剣にミシンを見つめていた。
そして最後に、一人一人のベネフィシャリーとインタビューをし、彼女たちが真剣に講義を聞いていて正しくマイクロビジネスの知識を得たかどうか、ミシンを得る資格があるかどうかをトレーナーにチェックしてもらった。 そして無事全員合格。
たまに連続して講義を欠席する人がいて、彼女たちをなんとか来させることに苦労したり、ほんの数名しか積極的に発言しなかったりと小さな問題は発生したものの、私は日が経つにつれ、彼女たちへの興味がどんどん増しているという確信を得ることができた。そして日に日に彼女たちもリラックスして講義を楽しんでいる様子がわかりとてもうれしかった。ベネフィシャリーたちが毎日のようにトレーナーと我々に飲み物を用意してくれ、その気持ちもとても有り難かった。 彼女たちはたくさんの子供がいて、多くの家事を抱え、忙しい日々を送っているであろうにも関わらず、半数以上が一日も休まずに出席したことは驚くべきことであり、非常にうれしいことであった。
10日間の講義が無事終わり、地元のミシン販売店の協力で20台のミシンをよい値で購入も終えた。その後必要なことは、裁縫の材料を購入することだった。講義を終えた終日後、再度彼女たちを集め、一定の予算を伝え、彼女たち自ら購入する材料を決めてもらった。彼女たちに司会をさせ、どの生地を一人何メートル、何色でどのサイズのファスナー、ボタン、糸をいくつ等、意見をまとめてもらった。みんな自分たちが何が必要かよくわかっており、積極的に会議は進んだ。そして3人の代表を選び、翌日コロンボにある、材料の問屋街に連れて行き、まとめて購入した。3人の女性たちはとてもアクティブで、購入を決めるのもとても早かった。どんどん自分たちで値段交渉をして決めてしまったりするので、ついていくのも大変だったが、おかげで全体でほんの20ルピーの予算(日本円にして約22円)を残したのみで買い物を終えることができた。但し、なるべく安い値段で購入するために、まとめて20人分の材料を買ったので、それらを翌々日のミシン贈呈式までに20個に分ける作業が必要だった。
翌日二人のベネフィシャリーが朝10時からAMURTのフィールドオフィスに来てくれて、生地を20人分にカットする作業、私はボタンやその他の細かい材料を分ける作業等に追われた。昼食と途中数回お茶を取ったのみで、ほとんど休まず作業は夜の8時まで続いた。彼女たちの働きに感謝。
何とか翌日、8月6日にミシン授与セレモニーの日を迎えた。朝9時前に会場に着くと、彼女たちが既に椅子とテーブルを並べてくれていた。今回のセレモニーは、彼女たち自らほとんどの準備をしてくれた。こういったベネフィシャリーの気持ちはとてもうれしいものである。会場は彼女たちによって寄与されたAMURT宛ての旗、スリランカの国旗やアムルトの旗などで飾られた。
今回はスイスのHead Officeの Director,Mr. SahとベルギーオフィスのMs. Kathleen がメインゲスト。彼らがコロンボから到着し、式は始まった。その他いつも大変お世話になっている地元政府のDivisional
Secretary Mr. Gunawardana, TAP Officer のMr. Jagoda、Department of Social PlanningのMs.
Piyadasaら多くの方々がいらしてくれた。いつもながら我々は多くの政府のスタッグの協力を得ていることを実感。
ベネフィシャリーたちはこの日スリランカの伝統的衣装であるサリーを着て来てくれた。
一人一人にミシンの受領書と材料を渡す。
最後にベネフィシャリーが用意してくれたお菓子等を頂いて式は無事終了。
ミシンは配り終えても我々の仕事はまだ続く。今後ベネフィシャリーが確実にミシンを使って製品を作り、地元の市場に販売して利益を得てうまくマイクロビジネスを行えているかどうか定期的にチェックする必要がある。翌日彼女たちの家を訪問し、ミシンの具合、既に仕事を始めているかどうかのチェックをした。
ミシンがトラブルを起こしていた2人を除き、ほぼ全員が既にミシンを使ってペチコート、ブラウス等を作り終えていたのには驚きと同時にとてもうれしかった。おそらく今後、彼女たちは、うまく製品ができない、売れない、利益が得られない、家事、家族の世話で時間が作れない等、様々な問題点に向き合わなくてはならないだろう。しかしこれまで彼女たちに接してきて、私は彼女たちの力を信じることができた。彼女たちはとても賢く、そしてパワーを持っている。きっとあきらめないで続けてくれるだろう。彼女たちと彼女たちの家族の生活がこのプロジェクトをきっかけとして、今より豊かなものになっていることを確認できればと強く願っている。
とにかくこのプロジェクトを通して、非常にたくさんの、かつ初めての経験をし、多くのことを学ぶことができた。戸惑うことはたくさんあったが、フィールドスタッフ始め多くの人々に助けられとにかくなんとか終えることができた。Mr.Manuはこのプロジェクトに関わるおおよそのことを私に任せてくれ、最初は自分にできるのだろうか非常に不安であったが、この約一ヶ月で自分自身がとても成長できたと思う。ほんとうに良い経験であり、将来の仕事にプラスになることは間違いない。このような機会を与えられたことに非常に感謝している。
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