11・12/07/06 資本主義の現実 今日から実習クラスが始まる。まず先生のダヤラトネさんはコイアロープから更に太いロープを作る為にその編み方を教える。今日の授業内容は次の順に沿って行われた。 1. 3つのコイアロープを一つに編みこんでいく 2. 用紙に描いたデザインを板の上に釘で止めていく 3. ツールセットにコイアロープを通していく(マイナスドライバーの先にコイアロープを通す為の穴が開いてるようなもの) 4. そしてデザイン画の外淵からコイアロープをぐるぐると内側にそって巻いていく。その際にロープの位置が崩れないように何ヶ所も釘で止めていく。 5. 模様に編まれたコイアロープを更に違うロープで一緒にとめていく 作業1では個人個人に分かれて編み方を練習する。私が見る限り受益者の中にロープの編み方をもうすでに経験している者もいた。スタッフのニシャンタにどうして経験者がいるのかと尋ねてみると編み方や作り方をしっているけれど、ビジネスの始め方を知らないとか、地元の市場では安い為あきらめる者もいるという。しかし海外市場では国内市場に比べ、値が上がる為、受益者の知識を広げ、市場拡大を目指すのもこのプロジェクトの目的の一つだ。 一方で、経験者、上級者もいれば、中にはやはりもう既にクラスについていけていない者もいた。そしてその中には学ぶ興味を失っている受益者もいた。そういった姿の者を目にした為、先生に直接指導するように頼む。しかし興味を失っている生徒に教えるのはなかなか難しいものだ。 受益者のやる気の違いや実力または経験の違いには資本主義の現実が絡みこんでくる。トレーニングプログラムは一クラスは23人で構成される。この中でコイアドアマットレスを製作するものは6人から8人となる。他の15人から17人はコアロープ作製担当となる。第一回の報告書で触れたと思うが、このドアマットを作るのはかなりの力仕事である。だからドアマットを作りたいという受益者は若手の女性に偏ってくる。年配組の受益者はコイアロープの作成を希望する傾向がある。 23人中6人を選ぶにはもう一つ理由がある。それは市場を重視した時に市場維持を考慮してのことである。 仮に今回プロジェクト受益者全員(420人)がドアマットを作るとする。そうすると市場での製品の数が急激に増え、製品価値が下がり、それと共に値段もさがる。これでは社会やコミュニティーまたは市場の維持または持続性がない。受益者を選ぶ際にもなるべく経験者を選ぶのもこの理由があるのも事実だ。 Livelihoodプロジェクトはいつも地域に根ざした自立性を考慮する必要がある。限られた市場で、同じ仕事をするものを沢山輩出してはその製品の価格低下の原因となる。こういった問題を配慮しながらも更に貧困で苦しんでいる人たちを仕事の能力や関心の高さに関わらず受益者として選ばなければならない。だからクラスの中で能力が偏ってしまうのも仕方ないことなのかもしれないが通常プログラム修了時に1クラスから6~8人が優秀なコイアマット製造者となりその他は原料となるコイアロープだけを作ることになる。これは経済用語でいう比較優位性ではないが、自由貿易という点からスリランカの特産品を得意分野毎に受益者がクラスの中で役割分担をすることにより、高い生産性を実現しみんなに利益がいきわたるといった様に解釈される。現実はそううまくいかないのは周知のことだがこれが市場のしくみを考慮した上での現実である。 大学で比較優位や 競争力優位などの 資本主義市場のしくみを学んだが、生計復興計画プロジェクトの中で経験するとは思ってもみなかったので、ここで資本主義の現実を目の当たりにする。