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現地報告レポート

第1回(2006年6月21日〜6月28日)
第2回(2006年6月30日〜7月12日)
第3回(2006年7月13日〜7月25日)
第4回(2006年7月26日〜8月4日)
第5回(2006年8月7日〜8月22日)
第6回(2006年8月23日〜9月6日)

第3回(7月13日〜7月25日)

13/07/06 私の小さな救世主が与えてくれたスリランカのジェンダー事情
今日は朝からスリランカスタッフのラリスが前回プロジェクト受益者のビジネス進行状態報告書を締め切りに向け作成しているので、それを手伝う。といっても報告書はシンハラ語で書かれていて、ラリスはそのコメント欄を英語に訳すのをここ4日間ひたすら取り組んでいる。もちろん私はシンハラ語は読めないので彼が書いた英語にチェックを入れていく作業を手伝う。報告書の数はおよそ300にもおよぶ。
今スリランカ事務所にはプロジェクト調整員はボランティアの私を含め3人しかいない為、1時半から始まるマイクロビジネスの授業の監視のためプロジェクトサイトに向かう。いつもならニシャンタとラリスが授業進行の監視管理をするのだが、人数不足のためニシャンタが他の作業をしている際に私一人で授業の監視を行う。しかしシンハラ語または英語で受益者とコミュニケーションが不可能な為、一人の4時間はかなり長く感じる(2クラス×2時間)
そこで授業の様子を写真に撮り収めて暇そうにしている私に救世主が現れる。受益者の子供達だ。1日、2日目と警戒していた彼らが心を開き3日目ではもう私の友達となった。ある意味子供達と私は授業内容を理解していない者同士同じ立場といえる。その同類同士、彼らと私、一緒に絵を書き始める。


報告書を読まれている皆さんは「なんだ仕事しないで」なんて思われるかもしれないがこの子供達と交流することで私と受益者との距離がグンと近づいた。この日に子供達の母親、ある受益者が「家に帰ると娘がずっとあなたの事を話するんです」といって話しかけてくれる。前に何度も受益者との会話を試みたがなかなか思うようにいかなかったのが今日は子供達の話題でコミュニケーションが容易に感じた。その会話の中で受益者が授業進行状況報告書では書けないであろう授業内容や状態について質問してみた。初めは受益者がプロジェクトについて批判また問題視したことを口にするのを躊躇していたが、徐々に話し出してくれる。まず小さなことから、例えばコイアドアマットの作成に使う金槌が重過ぎる。更に私は受益者がどれくらい論理授業の内容を理解しているか知りたく質問を重ねる。

Q: 授業内容、基本的なマネジメント、アカウンティング、ファイナンスそして市場の仕組みを理解しているか?
A: 理解できることもあるが、難しいことが多い。

Q: 勉強している事は前に知らなかったことばかりか?
A: はい

Q: 理解できないことがあったら先生またはアムルトスタッフに質問したか?
A: いいえ

Q: その理由は?
A: 先生やスタッフが男性ばかりということも含めて分からないことを聞くのがはずかしかったから。

私も質問はしにくいと聞いたことからスリランカ社会でのジェンダー事情に気づいた。男女差別はないが、性別による意識がここスリランカでも存在する。毎日の仕事をこなす中でなかなか細かいところまで気付かない事もある。しかしこういった社会事情を理解した上で生計再建プロジェクト内容を考慮しなければいけないと感じる。
そしてまた事務所に戻りラリスの報告書を手伝い終え、夕方にコロンボに向けて出発する。
夜10時にコロンボ事務所に着き、夕食をとり明日のミィーティング参加の為就寝する。

14/07/06 CHAミーティング内容
今日のミーティング内容主にIOMのプレゼンテーションで内容は津波以降に建てられた仮設住宅(TS)の状態とそのメインテナンスの仕方であった。生計再建プロジェクトに関してではないが、アムルトスリランカもギントタ地区を主に仮設住宅を2005年の4月から6月にかけて建設したのでTSに関する問題もアムルトスリランカにとって考慮すべき事だと思う。
• TAPポリシー(仮設住宅プログラ政策概念)
まず一つの仮設住宅建設にかかる工事費用が決められている(Rs.40.000) そしてTAPポリシーには水道、衛生設備を設けるように規定がある。しかし現実に衛生、水道設備を設けようとするとこの金額では十分でない場合が多いそうだ。
最近報告された仮設住宅の状態ではたった80%以上が規定された基準に満たないという。これには資金問題そして、政府の役割が深く関連している。
仮設住宅メインテナンス上の問題
• 資金問題
• 政府の仮設住宅管理
仮設住宅を建設した後、NGOはその管理を政府に委ねるのだが、そこからの管理がうまく行き届いていない場合が多いそうだ。
• 仮設住宅の寿命
仮設住宅は最低約6ヶ月寿命としてデザインされている。耐久可能な一般住宅の建設が遅れている為、強い雨や風に耐え切れなくなっている仮設住宅も多い。
• 土地問題
仮設住宅は政府の土地だけでなく個人が所有している土地に政府が賃貸をを払っている土地を利用している場合もある。今では政府がその賃貸を払わないケースもあり地主と政府間で問題も起こっているそうだ。

コロンボでのミーティングを終えてゴールに向かう。
受益者はそれぞれ役割分担をし、協力し合ってマットを作れていた。授業の様子もとてもポジティブで笑いも絶えなかった。
今日は実習授業4日目なのでフィードバック用紙を配る。しかし私自身もっと深く受益者がこのマイクロビジネスの授業をどうどう感じたか知りたかったので、授業を終え、ニシャンタとラリスのチカラをかり、更に詳しい質問内容を考える。明日は個人インタビューがあるので、その時にこの報告書の中で紹介したいと思う。

15/07/06 第一・第二クラス最終日
今日はいよいよ第一・第二クラスの最終日だ。朝から再びインタビューの内容について考える。インタビューの結果を英語版の報告書に反映したいため、アムルト生計再建プロジェクトの目標にこのクラス修了時点でどう達成しているかを結びつけて質問内容を考えた。スタッフと議論を重ね、アムルトのプロジェクト目的をもう一度再確認した。
プロジェクト目的
• 受益者の生計自立
• 受益者にマイクロ・ビジネスの仕方を教える上でこの影響が社会的、文化的または市場的に立証できるものかどうか?
• 受益者内でのコミュニティー再建
Q1: 理論の授業内容は難しすぎたか?
Q2: どの内容が一番難しかったか?
Q3: もし分からない事があったら先生に自分から質問したか?
Q4: 「いいえ」の場合の理由
Q5: たの受益者と自分の問題を共有できるか?

インタビューの結果はあいにく思ったようにいかなかった。13日の報告書で紹介したように、これらの質問から受益者からの色々な意見を聞きたかったのだが、正式な場でインタビューされるとどうも正直に言えないというのが現実だった。私自身授業に参加して受益者の様子を見ていたが、誰かが授業中又は授業後に先生に質問する姿はみえなかった。しかし質問3を受益者に問いかけたところほぼ全員が先生に質問し、しっかり内容を理解できたという回答が返ってきた。質問1・2対してもほぼ全ての受益者が内容を理解できたと返してきたので、グループ2からはどの授業内容が難しかったかという質問に変えた。そうするとやっと会計、経理が難しいと返ってきた。
私自身授業に参加した上で、把握した問題は色々とあり、それを直接受益者からの回答で事実を立証しようと思ったが、なかなか思うようにいかなかった。通訳してくれているのがアムルトスタッフであり、正式な場で質問をされるとすべていい回答しか返ってこなかった。次回からはやはり自己分析しないとだめなのかと少しがっかりした。
一方で質問を重ねることで受益者の心境や状況を少しでも把握できたという点もあった。授業に興味を示さない受益者に質問してみたところ読み書きが不可能な為授業に参加するのが難しかったという回答も返ってきた。どうして興味を示さないか理解できたのはよいことだったと思う。
授業の後に受益者達が小さなパーティを開いてくれる。スリランカのケーキやフルーツを頂き、みんなで和気藹々とした時間を過ごせた。5日間かけて作ったコイアドアマットも上出来に完成した。

19/07/06 コイア繊維とコイア機の分配
今日はゴール事務所の近くギントタでコイア繊維とコイア機の分配が行われた。先週の土曜日にグループ1と2を終えてからその受益者達に会っていなかったので、馴染みのある顔を見れてなんだか嬉しかった。
コイアの繊維は一束30kgあたりで各受益者に3束ずつ分配される。コイア繊維は渡す前に約30kgあるかどうかチェックする為、一束ずつ量っていく。この作業はかなりの力仕事でアムルトスタッフと何人かの受益者は汗を流して90個ものコイアを計りにかける。

コイア繊維 コイアを秤にかける コイア機 生計再建計画コーディネターから
受益者へコイア機が手渡される

生計再建計画コーディネターを迎えてコイア機を一人一人に手渡していく。嬉しそうな受益者の姿を目にして嬉しさがこみ上げてくる。約2週間後には彼らのビジネス状態を一緒に見ていくのが楽しみだ。
午後はもう既にグループ3と4が始まっている為、クラスに向かう。今回のクラスは前回のクラスとは少し違い、もう質問を先生に問いかけている受益者を見る。一人の受益者は自分から会計の理解している内容を説明し、再確認するというポジティブな姿も目にした。こうして授業の理解度もビジネスの進行状態も各受益者それぞれ異なる。毎日受益者と触れ合うことによってどの受益者がクラスをリードしているか次第に分かってくる。これはクラス、コミュニティーリーダーを選ぶ上で大切なことだ。

20/07/06  一つのエンパワーメント
今日は朝からマイクロビジネス授業のシラバスのファイル作りをする。授業のシラバスを各受益者に配っているNGOは珍しいとアムルトスタッフは言う。アムルトの目的は授業全ての内容を理解できない受益者の為に、授業終了後、ビジネスを始める際、又はその作業中で行き詰ったときに自分自身でファイルを見直し確認する能力を養う為だ。小さなファイルかもしれないが、こんなところにまで受益者の生計自立の為に気が配られている。
午後はマイクロビジネスの授業の監視を行う。ラリスがいつも出席をとるのだが、そこからも受益者の進歩が見えると教えてくれる。受益者の名前は英語で記述されている為、授業初日は読むことができず、名前の位置を指示されてサインする受益者がほとんどだった。しかし2日目からは自分達でサインする場所を覚え分かるようになる。この小さな進歩は開発プロジェクトの中で重要なことだ。NGOというのは初めは受益者をリードし、そして第二段階では彼らと共に働く、そして第三段階には彼らに全てを任せる。このプロセスは受益者の生計自立またはエンパワーメントに欠かせない。ラリスは7人の侍と同じだよと話してくれた。
授業が行われている一方で私達はミシンによる生計再建計画の為の受益者選定のためのインタビューを行う。受益者候補の名簿は地方政府から提供されるのだが、21件もの家を回りたった1人の受益者しか見つからない。政府がいかに被害状況を直接確認していないかよく分かる。
  
22/07/06  プログラム受益志願者を訪問する
今日の午後、アクララと呼ばれるヒッカドゥア近辺の地域で形成されている女性コミュニティーを訪れる。津波の被害を受け、その後に地方シアスファンデーションの力を借り、約女性50人でソサエティーを結成する。アムルト生計再建プログラム履行可能性を知る為にいくつかの質問を重ねていく。受益者の選択はアムルトが一番重点をおいているのでもちろん彼らの今の収入状態や家族構成まで必要となってくる。
このシアスファンデーションとはNGOでもなく、有益会社でもない団体である。シアスファンデーションは例えば1kgのコイア繊維を15ルピーで女性達に売る。そこから彼女達はコイアロープを作り、そのロープをシアスファンデーションが倍の値段で買い取る。手助けをしているのには違いないが、生計再建プログラムではないとの事だ。

アクララでのインタビューの様子
質問内容
Q: コイアマットを作るのに興味があるか?
初めは4・5人しか手を上げない。そこでコイアマットを作って売るとどれだけの利益があるか説明する。そうするとほぼ全員が手を上げる。
Q: 各家庭の月収入はどれくらい?
このアクララ女性ソサエティーの各家庭月収入は1000ルピーほどだ。
アムルトの過去受益者は一日に3つのコイアマットを作り約300ルピーから500ルピーの値段で売る。一日に1つを売ったとしても1ヶ月9000ルピーの収入となる。過去プログレスレポートによると1ヶ月最低収入額は約4000ルピーだ。
Q: 夫の職業は?(4人に尋ねる)
2人は津波で亡くなり、後2人は津波前はコイア繊維を作る工場で働いていたが、津波による被害が大きく今は無職だという。
Q: 家族構成は?

大半の女性が3~6人の子供持ちだった。

予定では48人を選ぶのが限界だったのだが、彼女達はもうすでにソサエティーを結成している為、そこから6人を落とすのはコミュニティーにとってもよいことではない。彼女達いわく大半はコイア機をもう既に持っているので人数を拡大できないかどうかスタッフで話し合うことになる。
クラス実施場所は近くのお寺をかりることになった。

25/07/06 とめ作業の難しさ
先週末コロンボに戻ったが、週が始まりマヌにまだコロンボでの仕事が残っていた為、一人でバスに乗りゴールへ向かう。普通のバスで行くと言ったのだが、普通のバスは時間がかかるし混んでいるからといってエアコンの付いた日本語でいうマイクロバスに乗せられゴール道から出発する。
このバスはマータラ行きで、乗客皆同じ値段Rs.295を払う。途中でまた小銭を請求されるので何の為かときいたところお寺へのお賽銭だと言われる。バスの乗客からお賽銭を集め、お寺でお賽銭を入れる。バスだけでなく、普通乗用車もお寺で止まりお賽銭を入れ、お祈りするのがスリランカでの習慣のようだ。
スリランカのバス事情ですごく便利なことはバス停以外のところにでも停まってくれるし、バス停以外のところでも乗車できる。ということで、私もゴール事務所の前で降ろしてもらう。
3時間の道のりで1時15分、クラス開始の直前につく。その足でクラスに向かう。クラス21名が3つのグループにわかれしっかり作業していた。今日は実践授業の2日目でもうコイアマットのとめの作業(binding)に入っていた。第3・第4グループは経験者が少なくその分真剣さが見られた。
前回のグループでは気付かなかったがこのとめの作業は無経験者にはかなり難しいということが分かった。
とめの作業にはコツがあり、とめていくパターンを覚えてしまえばさほど難しいことではない。しかし何人かの受益者は編まれたコイアをとめていくパターンがどうしてもつかめない。先生、スタッフ一同、私も含め別れて各グループを監視、指導する。
コイアロープを作成しているグループも見回るが、ロープの出来上がり具合に偏りが見れる。受益者の中に上手くロープを作れるものがいるのに、協力してロープのクオリティーをあげられないのはもったいないので、スタッフを呼びお互いをモニターするように指導する。こうしたグループの中で協力しあえることは生計再建プログラムを終えた後でもグループにとってプラスな事だ。


とめの作業に四苦八苦する受益者 とめ作業を指導するニシャンタ
 



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