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現地報告レポート

第1回(2006年6月21日〜6月28日)
第2回(2006年6月30日〜7月12日)
第3回(2006年7月13日〜7月25日)
第4回(2006年7月26日〜8月4日)
第5回(2006年8月7日〜8月22日)
第6回(2006年8月23日〜9月6日)

第4回(7月26日〜8月4日)

26/07/06  スリランカ政府機関の複雑さ
アムルトジャパンの新しいプロジェクト(職業訓練センター設立)を立案する為の調査で、今日は朝からゴール県庁の事務所を訪れる。今日はマヌが不在の上に、すぐにスーダンに行くことになるので、情報収集は私が担当することになる。一人で県知事に会い、質問を自ら問いかけることになるので、さすがに緊張する。毎週水曜日には一般の人の為にミーティングの時間を朝10時から設けている。だから生計復興計画の受益者や他のNGO,政府官僚の人たちが外で行列を作り順番を待つ。私は2番目に入ったというのに、警察官官僚が私の前に自らの力を振るごとく割り込み県知事と話しを始める。そして政府官僚も一人割り込む。県庁に着てから1時間経過する。
ゴール県の県知事はとても穏やかで優しい方で、マヌとも友達のようにいつも会話を交わしている。私の番がくると、「待たせてすまなかったね」と謝罪されたので、「とんでもありません」と答える。質問、プロジェクト内容を説明すると、時間をもっと取りたいということで、明日の朝に改めてもう一度ミーティングをすることになった。水曜日は受益者や一般市民とのミーティングを大切にしたいということだった。
市民や受益者との時間を大切にしている県知事を自分の目で見て、そして新しいプロジェクトは県知事からのリクエストということもあり私も出来るだけ協力してプロジェクト実現に貢献したいを心から感じた。
ゴール県庁を出て、新しい受益者リストを地方知事(Divisional Secretary:県より小さい行政単位の知事)にサインしてもらう為にニシャンタとヒッカドゥアに向かう。ここでもまたサインをもらうだけの為に1時間待たされる。ただ地方知事からサインをもらうだけでなく、生計復興係りの責任者からも了解を得た上で初めて、地方知事からのサインをもらうことができる。
夕方郵便局でも同じことだ。まず郵送の窓口で小包の中身を確認してから違う窓口で重さを量り、そしてまた郵送の窓口で小包を送る。
こうしたスリランカの複雑な手続きはスリランカ人も承知している。ここでまたスリランカの一つの文化を体験する。

28/07/06  生計復興計画フォーラム
今日はコロンボでの生計復興計画フォーラムに参加する。今日のミーティング内容はいつもとは異なり小さなグループにわかれ、2つの議題についてディスカッションし、可能な解決方法を導き出すといった形で行われた。

議題
1. 受益者が直面する、どうやって市場に入って行ったらよいのかという問題をどう解決し、どうやって適切な市場を受益者に紹介できるかどうか。
2. 各団体が行うプロジェクトの結果をよりよいものにする為に互いに協力し合い改善していくにはどうすればよいか。
4つのグループに別れて、2つのグループは議題1をそして残りの2つのグループは議題2を中心にディスカッションしていく。
私は議題2のグループに入る。

議題2で出された意見
• 情報源が乏しい
• 各団体、NGO間に競争意識がある
• 各団体、NGOをまとめる中立機関がない
以上の事がプロジェクト情報や問題点をお互いに共用する上での障害となると議論された。

解決策として
• 情報や問題点を分かち合えばお互いに共通の利益が得られるという意識を拡大すべき
• 地方政府と協力し合い中立機関の設立
と大まかな解決策に至った。

今回の議論はまだ手始めということもあり、大まかな解決策でよいとディスカッションを進めたCHA(Consortium of Humanitarian Agency)のメンバーは言うが、現実のところこの解決策を実現するのは多大の努力が必要とされると思う。
「現実に実行する」というこの問題は議題1にも同じ問題点が見られる。

議題1解決策
• 市場拡大を目指し人材を育てていく
• 一般企業と協力し合う
• 市場調査を行う
• 基礎構造の設立
ここでも情報交換は事態を改善する重要な点となる。例えば他のNGOがどういった分野のプロジェクトを行っているのかというのを把握することによって、同じ地域、同じ分野でのプロジェクトの重複を避けることが出来る。これは地域の市場にとってもプラスとなる。

<私自身が問う発展途上国の市場の危険さ>
発展途上国では先進国のように工業が主でなく、原料生産を主な産業としている。原料生産でなくてもここスリランカのようにコイア製品や、衣料、食料、工業製品と比べ、市場で低価格な製品製造を主とする。そしてゴールのコイア産業は、大きな収入源の一つである海外からの旅行者に頼っているが、それだけでは厳しいものがある。旅行産業だけでなく、海外市場いわば、海外への輸出先を必要としている。
そして私達も含めコイア産業を促進するNGOはもちろん旅行者、海外市場の存在を前提としプロジェクトを促進している。
だが海外市場に頼り切るのは地域市場自立にとって危険なことでもある。海外市場には時期状況にともなりムラがでてくる。ここスリランカでは近年多発するテロや紛争状態によって旅行産業も低下している。そうするとそれに頼っている他の産業も共に低下する傾向にある。
もちろんこれらの問題を把握した時点でどうこうできるものではないが、産業開発を進める上で把握しておくべき事だと私自身感じる。

29/07/06  第3・第4グプール個別インタビュー
今回のインタビューは全くの個別で行われた。前回のインタビューでの失敗点は、クラスが行われている最中にインタビューしたという事。インタビューの最中に周りに他の受益者がいるということもあり、インタビューされている側としてはあまり心地の良いものではなかったであろうと思われた為、今回この点を考慮した。
インタビューの方式は前回と同様、先生が授業で教えたいくつかの内容に対しての質問を受益者に問いかけ、受益者が自分なりの言葉で回答していくというもの。更に今回は何人かの受益者にコイアロープを編む実践試験も課せられた。コイアのロープをしっかりと編めるというのはコイアマットを作る上で欠かせないもので、質の高いロープだとロープだけでも売ることが出来る。試験を課せられたどの受益者も上手くロープ(コイアテープ)を編むことが出来た。   

個人インタビューの様子 コイアテープを編む受益者

• 個別インタビューの良い点
個別インタビューにすることによって、受益者は自らの津波被害経験や、コイアビジネスを始める上での質問と問題点を話すことができた。ある受益者はコイアビジネス始める為の政府機関での登録手続きを2ヶ月前に行ったのだが、まだ返答がないと言う。先生の話では普通2日、3日で手続きは済まされるとのことだったので、先生が、政府機関で働いているということもあり、早速ビジネス登録機関に問いかけてくださることになった。
こうした問題点だけでなく、受益者は津波の被害経験をまだ心の傷として持っており、話しながら涙をみせる者もいた。このインタビュー方式は次回からも続けていく価値があると感じる。

31/07/06 受益者選出方法
今回のコイア繊維とコイア機の授与式のゲストに、ジェノバグローバルと政府経済復興機関からのゲストをお迎えし、簡単なセレモニーが行われた。前回と同様に一人一人の受益者にコイア機と約100kgのコイア繊維を手渡していく。今回も皆汗を流しながら一つ一つのコイア繊維を量りにかける。

ジェノバグローバルのフェルナンド氏 コイア機 グループ3・4 コイア繊維

午後はアクララにて新しい受益者の為の授業が始まるので、急いでそちらに向かう。ここで受益者選択方法の意見の食い違いが生まれる。
 
アクララでの授業の様子  

受益者選択方法
このプロジェクトで一番念を入れている事は受益者の選択選出方法である。もちろんマイクロビジネスの授業を始める前からプログラム申し込み用紙の時点で、受益者候補、各家庭を回り、津波による被害の大きかった者を最優先してきた。しかし今回提案された新たな受益者選出方法はプログラム終了後によるもので、プログラムを終了時に、やる気のあるもの、しっかりとコイアマット作りの技術を自ら習得したものを最優先させるという内容である。今まで一クラス21人で構成され、特に目立った理由がない限りほぼ全員修了資格が与えられた。しかし今回提案された案ではクラスを27人で構成し、その際厳しく修了資格候補者を選出することで受益者のやる気も増しよいのではないかと提案された。しかしフィールドで直接受益者と接するスタッフからそれは難しいと反対意見が出る。もちろん毎日受益者と接していく中で、同じクラス内で何人かを落とす事は容易な事ではない。その後進行状態を調べる為に受益者と触れ合う際に何らかのわだかまりがでるといった意見もある。私もこれには賛成。毎日受益者と接し色々な彼らの抱える色々な問題が見えてくる。なかには読み書きが出来ないもの、年齢によって授業の理解度も変わってくる。27人を選出し、そこから6人を削るのはあまりにも酷な事だと強く感じた。
そこで、皆で相談し、もちろん27人中全員の授業態度、または彼らの抱える個人個人の問題を考慮した上で、資格を与える事に問題がなければ21人以上選出してもよいという結論に至った。申込書の際だけでなく、授業修了後では授業開始前より受益者の事を深く把握している事になるので、「真の受益者」(real beneficiaries)選出には良い方法なのかもしれない。
マヌがスーダンに発つ前にこういった内容も含め、色々な事が再確認された。
そして6時過ぎにゴールを発ちコロンボに戻る。

02/08/06~03/08/06   リーダーシップの大切さ
前二人コミュニティーリーダー
前日にコロンボを発ち、ゴールに戻る。2日にマヌを見送り、夕方の6時ごろコロンボを出るのだが、ゴール道で多数の工事が行われている為、夜の10時過ぎにゴールに到着。スリランカ人は車走行中にしょっちゅう追い越しをするので、そういった点で気が短いのだが、渋滞ではあまりイライラしないのか、停まっている車の中を見ても、いらいらしている人は見かけず、寝ているか、車の外で井戸端会議をしている人も見かけた。
3日の朝、さすがに疲れを感じる。午後からアクララでの授業が行われる為、40かけてアクララに向かう。今日は欠席者が一人見られた。31日に受益者選出について議論が交わされたため、スタッフも欠席に対して厳しい態度をとる。
一日欠席すると通常より一日余分に授業に参加しなければいけないと受益者に説明する。
アクララでの受益者は元々一つのコミュニティーが基盤とされているので、リーダーを先頭にやる気がみられる。コミュニティーというのはとても大切で、リーダーや数人の態度が全体に反映される。リーダーが既に存在するといった点で、このアクララでのクラスは支持もしやすいし、まとめやすい。リーダシップは開発の世界で重要な要素である。もちろん社会全体をみても、リーダー(地方政治家や権力者)の存在はなくてはならないものである。スリランカ国内のNGOをまとめる際にも誰か先頭に立ってたくさんの異なった機関をまとめる機関が必要となってくる。受益者の中でも同じ事である。

他の地域のように、コミュニティーを基盤に受益者を選ばない場合、授業終了後、アムルトスタッフがリーダーを選ぶ。このような違いでもしかすると授業終了後、彼らがビジネスを始めてからのパフォーマンスに違いが出てくるかもしれない。注目したい点だ。

04/08/06
津波の被害を受けた旧職業訓練センター
今日は午前中にやっと時間ができたので、ニシャンタに頼み、ゴール市内にある教育省が管理するぺティカラワッタの職業訓練センターに行く。ニシャンタによるとこの職業訓練センターは津波の被害でもう使われていないかもしれないとのことだった。行ってみると、ニシャンタの言葉通り、センターは津波による被害を受け、授業が行われている陰もない。もしかしたら、テクニカルカレッジに生徒全員移動されたのかもしれないと、テクニカルカレッジに向かうが、警備は厳しく、教育省から受けたIDないと入校する許可が下ろされないということで下調べを断念することを余儀なくされた。

その後、DS(Divisional Secretary )オフィスに向かい情報センターに頼んでおいた統計収集の進み具合を確認する。責任者のアベヤナヤケさんは職業訓練センタープロジェクト履行に対しとても協力的で、プロジェクト実現に対し、かなりの期待を抱かれていて、頑張ってほしいと言葉をかけられる。プロジェクト実現の前からアベナヤケさんのように協力してくれる存在は大切にすべきであると心から感じる。
そして午後は昨日と同様、アクララのクラスに向かう。今日は論理授業の最終日ということもあり、コイア機、コイア繊維を分配される際に集めるレシートのサインを前もって行う。ラリスによりコイア機とコイア繊維を受け取る際に手渡されるレシートの説明がされ、その後ニシャンタは得意のスピーチで十分間ほど話し、最後に受益者から拍手を受けた。

レシートの説明をするラリス ニシャンタとラリスの話しを聞く受益者達

私は内容が理解できない為、なぜ彼らが拍手をしているのか不思議に思い、横にいるラリスにニシャンタが何を話したのか聞いてみると、このグループの受益者の実践授業での成績が良いと、アクララでの次のマイクロビジネストレイニングを考慮するといった内容を現受益者に伝えたらしい。もちろんアクララでのマイクロビジネス授業は既に決定されているが、これは彼らのやる気を掻き立てるためのスピーチである。31日の授与式でもニシャンタは長いスピーチをする。将来もしかしたら政治家になっているかもしれないねと皆で会話する。  


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