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現地報告レポート

第1回(2006年6月21日〜6月28日)
第2回(2006年6月30日〜7月12日)
第3回(2006年7月13日〜7月25日)
第4回(2006年7月26日〜8月4日)
第5回(2006年8月7日〜8月22日)
第6回(2006年8月23日〜9月6日)

第5回(8月7日〜8月22日)

07/08/06  受益者の立場に立って
週末コロンボ事務所に戻っていた為、朝5時に起床し、ゴールのマイクロビジネスの実技授業に向かう。今日からコイアマット作成の実践授業が行われる。このアクララでの受益者はアムルトプロジェクト開始以前からコミュニティーとして活動していた為、受益者どうしも仲が良く、そのため、ヤル気、学ぶ気が全体的に高く、非常に積極的な態度が実践授業初日からよく見られた。中にはコイアテープ(ロープから更に太いロープに編みこまれたもの)作成経験者もいるため、スタッフのアドバイスなしに、経験の少ないものは経験の有るものから学ぶといった姿がすでに見られた。

こうした助け合う姿はコミュニティーから得られる賜物だと思う。と考えながら受益者達を見ていると、一人のコミュニティーリーダーが私のところに来て、「ミキ、はい」といって編みかけのコイアテープを渡してくる。編み方は過去受益者が編むのを見ていたので、知ってはいたが、実際に編むのは初めての経験。編み始めて2分、コイアテープ作りに没頭する。その姿をラリスが目にし、彼もコイアテープを編み出す。6ヶ月以上のマイクロビジネスプロジェクト履行経験のラリスもコイアテープ作成に実際に取り組んだのは初めてらしい。
コイアテープを編む コイアテープ コイアテープを編むラリス

ラリスは5分編み、飽きたようだ。私は受益者の輪の中に入り、更にコイアテープ作りに没頭する。その時は気づかなかったが、その何気ない私が取った態度に受益者は私に親近感を覚えたらしい。そう聞いて、前にマヌから教わった受益者の立場に立ってという開発の精神を思い出す。直接コイアテープを編みなさいとは指導されなかったが、これもその「受益者の立場に立って物事を見る」の一つだと私は感じる。コイアテープを編んでみて初めて、コイア繊維の硬さの為、手が赤くなる事を知る。同じ作業を実行する事で初めて彼らの感じている事が認識できる。
1時間ほどコイアテープ編みを練習した受益者は、コイアマット作りの練習にはいる。もちろん全員が同時にマット作りの作業は出来ないので、何人かはコイアテープ編みを練習する。

クラス終了後はヒッカドゥアからゴール事務所までの40分の道のりで、疲れきって車の中で眠る。

08/08/06
アクララの村で午後にフェスティバルがあるため、それを考慮しクラスは朝に行われた。昨日作り始めたコアマットももう既に留めの作業に入っていた。
授業終了後ゴールで生計復興ミーティングがあるため、ラリスと急いで昼食を取り、DSオフィス(役場)に向かう。ミーティング内容は主に各NGOがプロジェクト内容、進行状態、履行場所や受益者数などを政府の生計復興オフィサーに報告する。ミーティングは主に英語で行われたが、時々シンハラ語も使われていたので、各NGOが報告する内容を全て理解する事はできなかった。
以前、プロジェクト履行をより効果的にするために、情報交換とその機関の改善を報告書に取り上げたと思うが(コロンボのCHAミーティングで取り上げられた)、現実は皆が期待する状態になるまで更なる努力が必要なように感じた。
政府自体が各NGOのプロジェクト内容そして、各NGO同士がお互いのプロジェクト内容を把握するのは同じ地域で活動する者同士として、不可欠な事だ。
もちろん、こうして報告書に書くこと自体は容易だが、それを実現するのは大変難しい。だからコロンボで行われたミーティングのようにNGO自身が問題視することを始める事がまず第一歩で、CHAの生計復興チームが目指している事だ。
その後統計収集センターに行き、VTC(職業訓練センタープロジェクト)の為の情報をもらいに行く。ダイレクターのアベナヤカさん不在の為、アシスタントの方から説明を受ける。人口などの各情報の収集は10年に1度しか行われない為全ての情報は2001年に集められたものだという。
ゴールの街に1時間ほど出かけ、7時ごろ事務所に帰ってきてからVCTの情報をまとめる。中には集められない情報もあったらしく、抜けている箇所が数箇所見られたので、インターネットで検索し、最善を尽くす。驚く事に津波以前の情報と津波後の情報を比べるといった統計は見られなかった。仕事を保留したり長引かせたりするのが嫌なので、明日はポヤ日(満月の日)で休みという事もあり、夜中の3時に全ての情報をまとめ終わる。

09/08/06 兄妹の日(インド)
ルナが今日はインドでは兄妹の日だからといって手首にバンドをしてくれる。ルナは「ミキはお兄ちゃんの様に私の面倒を見てくれるから」といって嬉しそうにニシャンタ、インディカと共に私の手首に紐を結んでくれる。嬉しいが、お兄ちゃんの様にと言われ複雑な気分。そしてインドで結婚前の女性にするメヘディと呼ばれる儀式を体験。これは手の上に模様を描き3時間ほど乾かし手を洗うと半月ほどとれない。
 
メヘディと呼ばれるインドの儀式。通常結婚前の女性にする儀式らしい
 
10/08/06
マヌのビザ延長のためニシャンタ、ルナと朝4時に起床しコロンボに向かう。
前にスリランカ政府機関の複雑さを取り上げたがNGOスタッフとして就労ビザをもらうのは大変難しい。
社会福祉省にいって推薦書をもらい、その後防衛省にいく。時と場合に応じて他の省からも許可を得なければならない場合もある。
ニシャンタが社会福祉省のNGO係に行き推薦書を依頼するが、一つの手紙だけでは足りず、プロジェクトの進行状態を説明した手紙がいるといわれたので、急遽コロンボ事務所に戻り手紙を作成し、ニシャンタに手渡す。
なぜ就労ビザを得るのが難しいかというとINGO(国際NGO)の汚職問題が取り上げられたからだ。だから政府機関はまず地域、県知事からの推薦書をビザ延長の際の必要不可欠な書類として扱う。GAは自己管理地域のNGOをよく把握しているため、しっかりとした活動が見られないNGOには推薦書を出さない事もあるらしい。
こちらとしては、大変な作業だが、必要不可欠な処置だと思う。そのため社会福祉省からの推薦書をもらうにも時間を要する。
午後はセイロンシッピング(=貿易会社)のバニさんに電話でコイアマット輸出準備の進行状態を確認する。その後疲れて夕方に知らぬうちに眠りにつく。

12/08/06 個人インタビューについて
今日は授業の最終日で、インタビューを行う日だ。今週は水曜日がポヤデー(仏教徒の祭日)で授業が休みだったため、今日は授業そしてインタビューを同時に行わなければならなかった。前回のインタビューは土曜日にインタビューだけ行われ、いい結果に結びついたと報告したのだが、今回は個別インタビューの場所確保も時間確保も難しかった。ゴールでは先週からずっと雨が降っている。授業は寺院で行われているのだが、雨が降っているため、受益者に外で待ちなさいというわけにはいかない。そして2時間半の授業を終え、昼食時間をはさむため、その事も考慮しなければならない。そのため、以前のようにプライバシーが守られた個別インタビューとはならなかった。
個別インタビューが良い理由
1. プライバシーが守られるため、
• 質問を回答する際、回答し易い
• 受益者は彼らが抱える問題を打ち明け易い
2. 他の受益者は作業に集中できる

以上の事はスタッフも承知しているのだが、ポヤデーがある週にはそれを実現するのが難しい。小さなことかもしれないが、受益者の事を考え、同じ立場に立ってプロジェクトを履行するアムルトとしては大切な要因の一つである。
グループ5・6はそれぞれテーブルマットを4つずつ仕上げる。ラリスとニシャンタにもこのグループの感想を聞いてみた。私の感想と同様、どの受益者も新しい事を学ぶのに一生懸命で、ビジネス理論の質問にも、ほぼ全ての受益者が問題なく答えられた。
このアクララでのグループはもともとコミュニティーを基盤にし、リーダーもしっかりしているので、フィードバックの際にも授業で悪かった点をしっかり述べてくれた。
スタッフ一同も感じていた事なのだが、今回の先生はビジネスの理論を教える際、どうも理論ばっかりで例題が少なく理解しにくい内容だった。そして実践授業の先生は受益者に練習する機会を前回の先生のように与えなかった。スタッフとも話し合い、前回の先生に次回のグループの授業をしてもらう事になった。

13/08/06
15セットの椅子と机
今日は日曜だが、ニシャンタと私は、イーココロへサンプルとして送るコイアカーペットの注文進行状況を確認するため、もと受益者のチャンドラタさんの家にいく。家に行ってみるとチャンドラタさんは作業の最中。70個まで後残り2つだという。ということで、明日授業の後に取りに来る約束をした後、明日受益者に分配するコイア繊維とコイア機の最終確認に行く。
ニシャンタは暇があるといつもこうしてコイア繊維とコイア機の確認にいくそうだ。そうする事で、カーペンターやコイア繊維発注者も時間通りに物資を発注してくれるそうだ。
アムルトのコイア機をいつも作ってくださるカーペンターのディクソンさんのところに行き、驚きのニュースを耳にする。
アクララでの授業はアクララ地元の寺院で行われているのだが、机と椅子の数が受益者の人数に対して足りない。そこでニシャンタはディクソンさんに机と椅子を余った木材で提供してくれるかどうか相談したところ、ディクソンさんは計15個の椅子と机のセットをアクララ寺院に提供してくれる事になった。私はその完成した机と椅子を目にし、嬉しくてたまらなかった。ニシャンタは私に一番先に教えたんだよ、と嬉しそうに話してくれた。喜ぶ受益者達の顔が目に浮かび私も嬉しくてたまらなくなった。

14/08/06
今日はコイア繊維とコイア機の分配日。ハンディングオーバーのセレモニーはいつも朝10時から行われる。しかし1時間待ってもセレモニーに招待したヒッカドゥア地区長と生計復興係職員の方は来られなかった。電話で確認してみたところ、他の受益者とのミーティングで忙しくて来られないそうだ。そのため、セレモニーは寺院の住職さん、アムルトスタッフそして、受益者のみで行われた。受益者の皆さんはアムルトスッタッフに対し、感謝の気持ちを込め、小さなパーティを同時に開いてくれ、ケーキやフルーツを頂く。
セレモニー最中には住職さんから受益者へビジネス開始に向け励ましの言葉が送られた。全ての内容を通訳してもらえなかったが、学んだ事を使うだけでなく、自分自身の技術として発達させ、次の世代にもつないでほしいといった内容だったようだ。そして住職さんは「アムルト」という発音はサンスクリットで神の足という言葉の発音に似ているという事も話してくださった。住職さんからの心温まる話しに受益者もスタッフも聞き入っていた。地元政府の皆さんが来られなかったのは残念だが、十分中身のあるセレモニーになったと私は思う。  
午後からは新しいグループの生計復興トレーニング授業が開始される。私自身も言葉が分からないながら感じる事なのだが、前回の受益者も含めこのアクララの受益者のやる気はかなり高い。講義をしてくださっているダイヤラトゥナ先生も彼らの授業内容の理解度は高いと評価してくださった。
今後の活躍を見守りながら期待したい。
 
グループ7・8、新しい机と椅子で授業を受ける受益者達

18/08/06
15日のコロンボ滞在中にCHAのミーティングで出会ったジョーヒさん(UN ハビタット)から電話がある。内容はUNハビタットの仮設住宅に住む25人の女性にマイクロ・ビジネストレーニングを提供したいそう。そのプロジェクトの実施をアムルトに依頼したいとの内容だった。アムルトが現在行っているトレーニングの内容を簡単に説明し、私には決定権はないので、責任者に問い合わせてから再度連絡しますと伝えた。もちろん彼らの要望を聞き入れる前にアムルトのマイクロビジネストレーニング内容と彼らの希望内容が一致しなければ意味がないので、まずは現在授業が行われているアクララへ訪問してもらうように依頼する。マヌからも授業訪問への了解を得たので、今日ジョーヒさんがゴール事務所に訪れる。あいにく車の手配ができなくアクラらへは行けないということで、私にプロジェクトの内容を詳しく聞きたいといことだ。
過去にもUNハビタットは何回かプロジェクト実施をアムルトに依頼したという事だ。必要以上の情報を漏らさないようにニシャンタから強く言われたので、最低限の事だけ伝える。どうやら彼らの受益者はコイアのマイクロビジネストレーニングに興味があり、授業を提供したいそう。あいにくアムルトのコイア受益者リストはもう既に埋まっていて、これ以上の話しを進める前にマヌに直接連絡を取ってもらうように再度依頼する。
このように、資金はあるが、プロジェクト実施にまで至らないNGOや国際団体はたくさんいるそうだ。こういったNGOの中で、地元政府だけでなく、スリランカ政府からもアムルトのプロジェクト内容や結果の評価は高い。
私自身決定権や意見を述べる権利はないが、こうしてプロジェクト実施を依頼されるという事はアムルトの良さを評価されているように感じた。

21/08/06
今日は本当は第7・8グループの実習授業の開始日だったのだが、クラスが行われている寺院の住職さんが、今日は静かにセレモニーを行いたいとのことで、授業は急遽中止になった。住職さんから頂いた休日を有効に使い全員のスタッフが久しぶりにゆっくりと色々な事を相談できるいい機会になった。
事務所内の様子
まずはコイアデザインコンテストの申し込み用紙の最終確認。そして20人の参加者は前回プロジェクト受益者からそして10人は今回プロジェクト受益者から選ぶ事になった。原料代金は受益者自身が支払う事になったので、ビジネスを長くしている受益者に集中した方がいいと思ったからである。もちろんデザインコンテストなので、彼らの経験量も考慮しての事でもある。
そしてできるだけグループで参加するように促す事に決定。これはデザイン性を高める為の一つの要因だが、原材料は受益者が負担する為、一人一人の負担を少なくするためでもある。
スタッフ全員集まり、シンハラ語と英語で申し込み用紙を作っていく。
コンテスト準備が整ったのも良い事なのだが、私は本日クラスがキャンセルになったおかげで、スタッフの間にもゆとりができ、忙しくて一緒に笑う事も少なかった私たちに、絆を深め一緒に笑いあう事ができた良い一日となったと思う。
クラスがあるといつもニシャンタ、ラリス、私は事務所に戻るのが7時前になる。しかし今日は用紙のプリントをし、コピーを終え、皆夕方に帰宅する。


22/08/06
今日は朝から受益者宅にコイアデザインコンテストの申し込み用紙の配布に行った。引越しをしている受益者もいて探すのにも少し手間取った。
ニシャンタは一人一人にコンテストの概要をしっかりと説明し、彼女たちにグループで参加させるように促す。そうすることでもちろん、良いデザインのアイディアが出来ることが第一の目的だが、原材料を分ける事で一人一人の負担を少なくすることを考えての事だ。ここ最近はずっと雨続きだが、雨の中ニシャンタ、ラリス、ジャヤシンガそして私でGalle Four Gravets(ゴール県の中の一つの地区)内の10人の受益者に申し込み用紙、説明用紙を配る。配り終え、車に向かう途中で、ラリスはいきなり木の棒を拾い木に投げ始める。どうやらりんごの実を落としたい様子。それを見たニシャンタとジャヤシンガも一緒に棒を投げ始める。土砂降りの雨の中棒をひたすら投げる3人を見て私は笑いが止まらなかった。こういった心のゆとりは日本人にはないなあと感じる。
事務所に戻ると停電で仕事ができないとルナとハリンディが言う。私のカメラも充電が必要なのだが、今日はクラス写真はなし。
午後から始まった実習授業、1人の先生対25人の受益者では先生は一人一人に気を配っていられないので、私はコイアテープの編み方を一緒に教えていく。必ず各グループに3人ほどどうしても編み方が覚えられない受益者がいる。
ラリスも編み方を取得し、一緒に教えていく、そして二人で「教えるのって根気がいるね」と話す。しかし全員の受益者が編み方を覚えてくれて私は大満足。前から先生はコイアテープの編み方より、マットの作り方に集中する傾向があり、何人かの編めない受益者は取り残されることがあった。しかしスタッフ全員受益者が編めるようになってくれて大満足した様子。



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