第5回 2007年5月後半 職業訓練途中経過
洋服仕立ての理論の授業では寸法や型の取り方の基礎を学び終えた。実技ではまだほとんどの生徒が刺繍に取り組んでいるものの、それを終えた生徒は型の取り方の実践として子供用の半袖シャツを作っている。VTCでの最初の課題であった制服を作った際には教員やアシスタントが生地を用意したので、生徒にとって自分で採寸、裁断するのは今回が初めてとなる。二人一組になりお互いのサイズを測った後、間違えて生地を無駄にしないようまず黒板で型を取る練習をする。
語学と算数の授業では教師の補充に伴い生徒を2つのレベルに分け別々のクラスで教えられるようになった。小学校在籍経験の有無をもとにして、約三分の一が中級、残りが初級となっている。ディンカ語(現地語)の授業を除き、簡単な英語のできる中級は国際スタッフが、初級はスーダン人スタッフが担当している。大工・石工コースでは、まずは理論による基礎固めを優先にするという理由から見合わされていた設計、建設現場運営の各授業が開始された。建設現場運営では生徒が将来起業し現場の指揮、監督を行えるよう、マネジメントの観点から教えている。目や体で覚える技術と違い、この科目で生徒にとって難しいのが「資源」や「効率」といったコンセプトだ。南スーダンという経済が発展途上の場所で、さらに職業経験の浅い彼らには競争的な環境で事業を行う上でのこれらの考え方を捉えることが難しい。
大工の実技の授業ではVTC敷地内で教室や倉庫として使われているトゥクルと呼ばれる藁葺き屋根の伝統家屋に扉を作っている。一方で石工の生徒はレンガを水平・垂直に積む練習をしている。セメントの代わりに泥を結合剤として使い、崩して何度も練習できるようにしている。
 |
 |
| 完成した扉の前で |
|
VTC敷地内は設備の拡充と将来の事業拡大のため現在大幅な整備が行われている。アムルトの大工・石工コースのカリキュラムは実技をこの作業と関連づけているので生徒は教室で学んだことをすぐにその場で生かすことができる。またケニヤ人大工と石工による建築も行われており、プロフェッショナルな作業を見ることができる。放課後すぐ家に帰らずに作業を眺めたり、彼らと話をしたりする者もおり、生徒の仕事に対する興味と愛着を促していることがわかる。
VTCの開始から一ヶ月が経ち慢性的な問題となっているのが授業で使われる道具の質である。洋服の仕立てでは頻繁に故障するミシンがあり、生徒が作業を中断せざるをえなかったり、教員が修理に時間を費やされたりといったコストが生じる。大工道具でも例えばかんなの刃の角度が整っておらず初めから使えないものもある。VTCで使われる道具のほとんどがスーダンでは手に入らないため隣国のケニヤから取り寄せているのだが、大抵の物が手に入る一方で日本や欧米と同じ品質とサービスを期待することは難しく、スーダンでプロジェクトを行う上でロジスティックス面での利点とこれらのコストのバランスのとり方が課題となる。
 |
| 届いたノート |
なお5月第3週には生徒に配られるノートが届いた。アムルトの職業訓練所(Vocational Training Center: VTC)プロジェクトのドナーである日本国際協力機構(JICA)とAMURTのロゴが入っている。ここではノートはエクササイズブックと呼ばれ、日本で使われている物の半分ほどの大きさである。